いちばんの星 -side episode-
何だかんだ、ふたりは思い合っているのだと思っていたミュリエルは目の前で泣き出すラナの背中をさすりながら考えていた。
確かにスティークに恋人がいるとは聞いた事はなかったが、逆にはっきりいないと聞いたわけでもなかったのだ。
「でも、まだ嘆く事じゃないわ。一方的に抱きつかれただけかも…」
「嫌がらなかったのよ!」
ミュリエルの言葉を遮るように、突然ラナが大声をだした。
「…無理やり抱きつかれたのならもっと嫌そうにするはずよ。そんな感じじゃなかった…
むしろ…」
もっとずっと深い仲に見えた…
「そんな事わからないわ。スティーク様に聞いてみないと…」
「…もう、いいの…」
呟くようにそう言うと、ラナはゆっくりと顔を上げた。