いちばんの星 -side episode-


(ミュリエル?)



今は人と会う気になれなかったがミュリエルならばと、ラナはその重い体を起き上がらせた。



「今開けます…」



そう言ってドアを開けたラナの目に飛び込んできたのは…



「やあ」



「……スティーク様」



いつもと変わらず優しく微笑むスティークの姿だった。



「こんな時間に部屋を訪ねてすまない。少し、時間…あるかな?」

「……」

「ラナ?」

「あ、はい…」



気付けばそう答えていた。



もう忘れようと決めたのに…



ラナはスティークの訪問に少なからず胸をときめかせる自分に腹がたった。
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