いちばんの星 -side episode-


――――――


日も暮れて月が輝き始めた頃、仕事を終えたラナは部屋へと帰ってきた。



もとはミュリエルと二人部屋だったのだが、ミュリエルが部屋を移動してからはひとりで部屋を使っていた。



「ふう…」



バタリとベッドに仰向けに倒れ込むと、ラナはスティークの事を思い出していた。



(今頃…あの人と……)



何度忘れようとしても、頭から離れないふたりの姿…



「もう嫌ッ…」



思わずラナはぐるりと寝返りを打つとシーツに顔をうずめた。



その時だった。



――コンコン…



突然ノックの音が部屋に響いた。



――コンコン…
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