いちばんの星 -side episode-
その時初めて立ったままで話をしていることに気付いたラナは、慌ててエルトを椅子へと案内した。
「今、お茶を…」
「ラナ」
エルトのその声は、背を向けるラナの動きを止めた。
「今城を辞めて、あなたはどうするつもりなの?」
突然確信に迫るエルトの問。
「あなた、それで後悔しないの?」
普通ならここで誤魔化してしまうだろう。
しかし、エルトの声や言葉にはまるで母を感じさせるような温かさがあった。
だからなのか……
「私っ…」
スティーク様っ……
押し込めていたはずだった気持ちが、
「わたしっ…」
決壊した。