いちばんの星 -side episode-
「いっ、いえ」
尚も緊張しきった様子のラナにエルトはにっこりと笑いかけるとその肩をぽんと叩いた。
「そんなに恐がらなくても大丈夫よ。ちょっと話にきたの」
話…そう言われたラナの顔が、少しだけ強ばった。
「それは…以前エルトさんにお話した事ですか?」
「……」
暫くの間、ふたりは無言で見つめあった。
それはごく一瞬の事だったのかもしれない。
しかし、ふたりにとっては思考を巡らせるには十分すぎる時間に感じられた。
「…とりあえず、中に入ってもいいかしら?」
その重い空気を破り先に口を開いたのはエルトの方だった。
「あっ、すみません!どうぞっ」