いちばんの星 -side episode-


――――――


泣き続けたせいか、まだ瞼が腫れている気がしてラナは瞼を軽くこすった。



あの後、エルトは何も言わずただ抱き締めていてくれた。



そして最後に一言だけ、



「私は、あなたの幸せを願ってるわ…」



そう…言ってくれた。



太陽の光が眩しくて、しかし何故だか心はすがすがしかった。



思い切り泣いたせいか、はたまた思いの丈を全て打ち明けたせいか…



ラナは小さな鞄を抱えると、城の裏口にある門へと歩きだした。



一歩一歩、踏み締めるように歩みを進めるラナの耳に、



「ラナ…」



はっきりと聞こえたのだ。



ラナはゆっくりと顔を上げた…



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