もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



宮崎先生はあたしを見るなり泣きそうになりながら心配してた、とあたしを抱き締めた。
沢山の患者を診る医者が、一人の患者を心配してるなんて、正直驚いた。


「その検査結果が出たんだ」


検査なんてしても一緒。
したところで、治療が出来るわけないのに。


「結果って同じでしょ?」


変わらない、もしくは少し進行している。それくらいじゃないの?
癌みたいに手術すればいい、とかじゃないんだから。


「………最近、見えないときがあるんじゃないか?」


先生の言葉に目を見開く。


見えないとき、それはさっき。


「ど……して?」

「予想より、進行していた」


右目が完全に見えてないから負荷が全て左目にいっている。それと進行が合わさって左目も視野が狭まってきている。
一瞬で見えなくなればいいのに、じわりじわりと周りから見えなくなってくるのが苦しいことだ。


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