愛しのマイ☆ドクター
『ねえ 先生 美羽たちが作曲してるのって

他の患者さん達に迷惑になってたりしないかな?』



その夜美羽が僕にそう聞いてきた



『うーん・・・ 僕は昼間こっちに来ることあんまりないから

はっきりとは言えないけど・・・


でも もし迷惑になってるんだったら岡崎さんが

報告してくれるだろうから・・・


何も聞いてないから大丈夫なんだと思うよ』



『そっか よかった』



『それにこの数日だけなんでしょ?社長さんからはそう聞いてるよ』



『うん たぶんもう明日終わると思う』



『そっか じゃあいいんじゃん』



『先生 あのさあ 美羽 この新曲作るのすっごく楽しいんだぁ』



『へえ そうなんだ』



作曲なんてしたことのない僕にわかるはずはないけど

美羽のその満面の笑顔は今おこなっている作業を

心から楽しんでいることを物語っていた




そして美羽はその作曲の作業の様子を

こと細かく僕に教えてくれた



マネージャーさん、社長さん、作曲家さん そして美羽が一緒になって

美羽の作った歌詞のイメージに合う音をみんなで作っていく



作曲家さんが持ち込んだコンピュータと小さなキーボードで

実際に音を出しながら進めているらしい



美羽の意見も今回大幅に取り入れて

発表の時は「編曲」に美羽の名前も

クレジットされるとのことだった




夢中になって話す美羽からは

病人だとは思えないくらいの

熱意が伝わってきたが

ときどきふと冷静に彼女の顔を見ると

やはり健康体の少女とは

かけ離れたような蒼い色をしていた
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