愛しのマイ☆ドクター
さらにその二日後

とうとうレコーディングの日程が決定した



明後日の2月22日に

都内某所のスタジオで午前10時に開始して

丸一日を予定しているとのことだった



美羽の16歳の誕生日3月3日に発売予定

ですべてを進行するとのことで

音楽業界にはまったくの素人の僕でも

かなり駆け足のスケジュールなのがわかった



でもそれを聞いた僕は

正直あまり好ましくは思わなかった



ただでさえ美羽の調子はよくない



あまり無理をさせたくなかった



特にここ最近は僕が病室に行っても

ベッドに寝転んだままで

おしゃべりをする気力さえ

出ないようなときも多かったからだ



それでも美羽の

この新曲にかける意気込みは

かなりのようで

ベッドに寝転びながら

ipodでその曲のデモテープというのだろうか



それを聞きながら

軽くハミングしていたりしていた



『あまり無理しないようにね』



僕はたびたび美羽にそう言った



『ありがとう でも大丈夫だから』



美羽はいつもそう返事した



しかし残念なことに

彼女の病状を示す数値は

急激な下降線をたどっていた



彼女はもう検査結果を

いちいち僕に聞くようなこともしなかった



おそらく自分が一番よくわかっていたのだろう



自分で摂取できる食事の量は半減していたし

彼女の体には何種類もの

点滴や器具が取り付けられていて

病室内にはとても痛々しい光景が広がっていた


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