美人カフェ“BLUE BIRD”
時間は、1時間・・・「本日は終了しました」のドアをそのまま開ける。
「お帰り、スケコマシ。お客は今、アイシング中だよ。」
細い指には細いタバコ。診察終了に不釣合いの明るさの下で、椿はくつろいでいる。
「時間外診療、どーも。ホレ、5回分。」
俺が払った五万二千五百円をきっちり数えてレジに入れながら、椿はまたしても痛いところを突いてくる。
「で、いつ、こっちに来るの?セイは?」
「こっちって?」
-現実は怖いから、いつだって笑顔の仮面を付けなければ、虚実の勇気を前面に出さなければ、あの卒倒するような匂いと終わりの時から逃れられない・・・。
「いつまで逃げ続けるの?時はそんなに待ってくれないよ?」
「うるさいなぁ・・・。俺はお金持ちのおぼっちゃんなんだから、待たせてくれてるよ!」
イヤミを吐いてでも、守らなければ。
「あたしは・・・・待てないよ、そんなに。」
やさしく、抱擁してくる指は微かに震えている。
「いつまで待たせるの・・・?」
遠慮がちにまわす腕を引っ張って、手に口付けをする。
「ごめん椿・・・・ごめん・・・。」
いつまでも、待たせて・・・俺って本当に、最低な男・・・
ガタッ!
でも。
「あああああああああののののののののののののののすすすすすすすすすすみませえええええん、じかん・・・じかんがきたたのででででで!」
いいトコじゃまする、馬鹿女。
って、俺の方が、バカだよな・・・。