Love and you
カチャとドアの開閉音が聞こえて、そちらに自然と顔を向ける。
「・・・」
そのままドリップ中のコーヒーへ視線を戻した。
「亜紀さん、ごめんなさい」
「なにが」
「えっと、勝手に・・キスして」
ふうと息を吐き、渡辺健人を視界へ入れる。
「それで?」
「あの、もう勝手にはしませんから」
「・・・」
「絶対、亜紀さんを振りむかせてみせますから」
真剣な目線をこちらへ向ける。
心臓がつかまれる。
いきなり、なによ。
そのまま渡辺健人は給湯室を後にした。
ドリップコーヒーをゴミ箱に捨てる。
「あち」
同じ位置へマグカップを置く。
いきなり・・なによ。もう。