Love and you
淹れたてのコーヒーを一口含み、味わいながら喉へ押し込んだ。
少しでも気持ちが落ち着くようにと。
マグカップの中の黒い液体が落ち着きを取り戻し、私を映した。
その中の自分へ渇を入れ、給湯室を後にした。
席につくと同時に奈々子に声を掛けられた。
「亜紀、昨日の資料なんだけど・・」
渡された資料にポストイットが貼り付けられており、そこには訂正箇所が指示されていた。
「ちゃんとチェックしたつもりだったんだけど・・ごめん」
一通り目を通し、奈々子に謝る。
「そういう時もあるわよ、これ今日の11時までに必要な資料みたいだから」
そう私に告げると、奈々子は自分の仕事へ戻った。
まだ十分に時間はある。
昨日のツケを取り戻すように、淹れたコーヒーが冷めてしまうのも忘れて仕事に没頭した。