Love and you
定時のチャイムが鳴り、バタバタと帰り支度をし始める。
明日の仕事内容をチェックして、バックを手にした瞬間、奈々子が私の前に立ちはだかった。
「ね、今日さ、急遽、渡辺君の歓迎会やることになったの」
「え?」
理解しているけど、聞き返してしまう。
「いや、今週の金曜にしようか~なんて話が出てたんだけどさ」
なぜ急に今日になったかを、奈々子はさらさらと早口で説明した。
それに対しては無言で頷き、自然と彼へ視線を移す。
彼は彼で同じ部署の男性社員から説明を受けて、わかったと返事をしている最中だった。
その行為に気付いた奈々子は、おもむろに私に顔を近づけて、
「あれ?約束してたの?」
と小声で聞いてきた。
「ま、しょうがないか」
口ではそう言っているものの、表情だけは言葉と裏腹な表情をしていたに違いなかった。