Love and you


1日の仕事の山場を越えて、一息つこうかとトイレへ行った帰りだった。


ちょうどエレベーターから出てくる課長とはち合わせた。


「あ、ちょうどよかった。今日の予定は?」


未だに不特定多数の人が行きかう廊下で、こういう話をするのは慣れない。

彼の言葉を理解すると同時に、周りに人がいないか確かめる。

だけどどんなタイミングを計っているのか、いつも彼と私、二人きり。


「大丈夫です」

それでもどこか不安で、当たり障りのない言葉を彼へ返す。


「そうか、じゃ、後ほど」

にこりと笑い私の肩をポンと叩き、私の前を後にした。


ふうと軽い深呼吸をして、私も彼の後を追った。




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