そのオトコ、要注意。
またしてもあたしの顔から察したのか、
「だからさ。美羽は今の今まで忘れてたみたいだけど、あの場にはみんないたのよ、私を含めてクラス全員がね」
改めてそうやって言葉にされると、赤く俯かずにいられないダメなあたし。
そんなあたしをからかわずに、両手を頬に当てて前を向かせた後、環奈は続けた。
「つまり、みんな見てたのってわけ。あのときの二人の様子を」
それはそれは、あんた達二人にホの字の憐れな男と女が意気消沈するくらいの…ね、と意味ありげに笑う。
「確かに…。他人の口から聞くと、どこぞの青春ドラマか!って思う……」
まだ火を噴く頬を押さえ自分の痴態を恥じていると。
「あんたにホの字の男、ってとこには反応しないのね……」
「え…?何か言った?」
なんでもない、って環奈は言ってるけど…。
「話戻すわよ。たぶん、みんなはあんたが有栖川くんの『特別』だと思ってる」
だからもう諦めちゃってるのよ、ここの女子は。
環奈は悪戯っぽく笑んだ。
かくして爆弾を投下されたあたしは。
「えぇ〜〜〜ッ!!」
見事にひっくり返った。
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