そのオトコ、要注意。


またしてもあたしの顔から察したのか、

「だからさ。美羽は今の今まで忘れてたみたいだけど、あの場にはみんないたのよ、私を含めてクラス全員がね」

改めてそうやって言葉にされると、赤く俯かずにいられないダメなあたし。

そんなあたしをからかわずに、両手を頬に当てて前を向かせた後、環奈は続けた。

「つまり、みんな見てたのってわけ。あのときの二人の様子を」

それはそれは、あんた達二人にホの字の憐れな男と女が意気消沈するくらいの…ね、と意味ありげに笑う。


「確かに…。他人の口から聞くと、どこぞの青春ドラマか!って思う……」

まだ火を噴く頬を押さえ自分の痴態を恥じていると。

「あんたにホの字の男、ってとこには反応しないのね……」

「え…?何か言った?」

なんでもない、って環奈は言ってるけど…。


「話戻すわよ。たぶん、みんなはあんたが有栖川くんの『特別』だと思ってる」

だからもう諦めちゃってるのよ、ここの女子は。

環奈は悪戯っぽく笑んだ。


かくして爆弾を投下されたあたしは。


「えぇ〜〜〜ッ!!」


見事にひっくり返った。


.
< 69 / 142 >

この作品をシェア

pagetop