忘却は、幸せの近道
「君も座ったら?
聞きたいことがある。」


「はい。」


俺は、壱さんに促されるようにイスに座った。


気まずい。


「梨依と君は、実依が同じ高校だと言っていたが、君は、梨依の信用している医師の弟なんだろ?
どういうきっかけ?」


「俺が中2で梨依が中1の時に、初めて梨依を病院で見かけました。
俺の一目惚れです。」


「つきあって、そんなたつのか?」


壱さんが、訝しげに俺を見た。


「俺、どうやって話しかけていいかわかんなくて、ずっと進展はなかったんです。
そんな俺に痺れを切らした姉さんが高3の時に話すチャンスをくれたんです。
そっから、徐々にアタックして、漸くつき合えるようになったんです。」


俺は、包み隠さず答えた。


「なんだ。
いい加減なわけじゃないんだな。」


壱さんは、ホッとしたようだ。
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