金髪の君*完結



"健吾くんとお付き合いしています"

自分に言い聞かせるように言った言葉に、実感が沸いて来た。

ポカーンっと目と口を開く若田を見て笑いそうになったが、笑いを堪え私は


「何かお手伝いすることございますか?」


若田と同じ顔をし、驚くお母さんに笑いかけた。


「葵ちゃんだっけ…?」


「はい。」


「どうして!!?」


「えっ?えっ!?」


私の両肩に手をかけ、お母さんは


「あんなののどこがよくて付き合ってるわけ!?
悪ぶって喧嘩以外、勉強も家事もろくに出来ない!
それにこの顔!この不細工さ!
あんたならもっといい男が周りにいるんじゃないの!?」


「こんな男やめとけ」と何度も呟くお母さんに、若田は悲しそうな瞳で私を見ていた。



「それに、女癖は悪いけど泰や陸斗の方がいい男だよ?」


「私は、健吾さんがいいんです。」


泰や柳を薦めだしたお母さんに断言する。


「ふーん。ふふふ、あはは!」


「お袋!?」


「いやー、よかったよかった!」


突然笑い出したかと思うと、満面の笑みで若田の背中をバシバシ叩く。


「一生彼女なんかできないんじゃないかなって思ってたんだよねー。
連れてきたと思ったらこんな美人さん連れてきてー。
いやぁ…よかったよかった。」


若田が苦痛で顔を歪ませているのに気付かず、同じ場所をバシバシと叩くお母さんを呆気にとられながら見つめた。





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