―百合色―
百合を掴んでいた手がまだ熱い。


いや、体が全て熱い。


『また…風邪引いたかな』

俺は空を見上げ、
さっきの事を思い出していた。



あの人が稲葉先輩─…


背が高めで、
髪の毛が少し茶色で、
無造作ヘヤーで、
笑うと可愛らしい、


俺と全然違う。


『くそっ…』


空に向かって俺は、
愚痴を吐いた。


今、この苛立ちを聞いてくれるのは、この空しかない。


不安が、募る。


不安が、襲う。


『…何で今なんだよ…』


愛し合ってるなら、
大丈夫だと思っていた。


これは自惚れだったのだろうか?



自惚れだとしても、
俺は、ずっと百合しか見えないだろう。


たくさんの女性と出会っても、必ずその中から百合を探し出し、


また愛し合うだろう。


百合を取られたくない。


でも百合には幸せになって欲しい─…
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