―百合色―
夕方の教室は、オレンジ色に染まる。

朝の教室とは全然雰囲気が違う。


朝の教室はただ明るいだけだけど、夕方の教室は、何だか…心が温まる。


俺は夕方の教室のが好きだ。


今日はマナと約束をしている日ではない。


だから、俺は一人、ある場所へと向かった。


手にはあるモノを持って。


ある場所を探す。


その場所とは、学校からそんなに遠くはない。


『どこだぁ?』


手に持っていたモノを頼りに、その場所を探していく。


手に持っているモノは、
写真集。

ある場所とは、写真集の中の撮影場所。



一度、来たかった場所だ。

俺は、小さな丘を登る。


『あっあった!』


小さな丘を登りきると、
そこには桜の木と、ベンチがひとつ。



ここが…あの場所だ。
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