続・特等席はアナタの隣。
「…何?」と振り返ったモカの表情は苦しげに歪んでいた。


「まだ話しは終わってない!帰るって何だよっ!!」

「だってっ…!それどころじゃないでしょっ…!?一緒にいるといつも和泉君騒がれちゃうし…!!」

「そんなことっ…!!」

「またっ…邪魔者みたいな目で見られちゃうし…!!」

少し震えながら言い放ってきたモカの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。




「和泉君と一緒にいると…しんどいよ…」

「……モカ…?」

「もっと…普通の人なら良かったのに…」


……何だよ…それ…。

返す言葉が見つからなくて、ただ呆然とモカを見つめた。


「……ごめん、私もう帰る…。ちゃんと、タクシーで帰るから…」

そう言って気まずそうに俯いたモカはゆっくりと俺の手を放した。


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