裏切り恋愛
『車気をつけなさいよ』
『はぁーい』

ガチャッ

大きい音をたてて家を出る。

海斗は圭斗の双子の兄で、二人はとても仲がいい。
実由も入れて、三人はいつも一緒だった。

駆け足で角を曲がる。

キキーッ!!

その瞬間、実由の耳を劈くような音がした。

『……な、に?』

実由は焦る気持ちを隠そうと、平然を装い、角をゆっくり曲がった。

……っ……。

心臓が跳ね上がる。
ドクン、ドクン……

目にしたものは……

『圭斗……?』

圭斗と、海斗。

真紅の液体がコンクリートの道路を染めている。
実由は立ちくらみそうになった。
そこに倒れていたのは、海斗で。
真紅の液体の持ち主は間違いなく、海斗のもの――……。

『……お前のせいだ』

圭斗は心無いかすれた声で、そう呟いた。

< 42 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop