氷柱
中学校に上がって、あたしが横道にそれた。


琢磨も琢磨で、金髪に煙草をくわえ…周りからすれば『不良』。


思春期も重なり、昔ほど琢磨と関わる事は無くなったものの、すでにこの時点で『一匹女狼』のレッテルを貼られていたあたしは、他の女子ヤンキ-に比べれば、琢磨たち男子ヤンキ-と長く行動していた。


『珠輝はどこまで強くなれんの?』


茶化したように訊く琢磨の額を、いつも拳でこづいていた。





だからこそ、許せない。


「珠輝…やめとけよ」


止める千明を振り切って、小刻みに震える手で琢磨の左腕を掴んで…


一気に捲り上げた。


「…たく…ま…」


無数の注射器の痕跡が、あたしの心を打ち砕く。


琢磨は何も気付かず眠っているけれど、あたしは知りたくない事を知ってしまって失神寸前だった。
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