同級生
エレベーターが5階で止まった瞬間、緊張が一気に全身を駆け巡り、背筋がピンっと伸びた。

大久保と話しながらエレベーターに乗り込んで来る和華。

和華はエレベーターに乗り込んだ後、俺のすぐ前に背を向けながら立っていた。


はじめて見る和華のジーンズ姿。

黒いキャミソールの上に着ている薄っぺらな白いシャツが、和華の肩を更に白く、夢の中のようにぼやけさせていた。


手を伸ばせば抱き締める事が出来そうな程、近くにある細く小さな背中。

手を伸ばせば触れる事が出来る長い黒髪。


6階に到着すると、和華と大久保は真直ぐ露天風呂に向かって行った。


何も話しかけて来なかったけど、和華がすぐ近くに居た事が素直に嬉しかった。

短い時間だったけど、教室の中より近くに居た事が何より嬉しかった。


少し浮かれながら脱衣所に入ると、一哉がベンチに座りながら言ってきた。

「洋ちゃん、遅ぇよ」

「は?…つうか、何でここに居んの?」

「俺から誘ったんじゃん。風呂で泳ごうって」

「え?…『カズ』ってお前?」

「は?何言ってんの?つうか、何年顔合わせてんの?」

「…だよな!これが現実か…。つうか新田!」


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