年上。
何かと思えばそんな事か。

「別に、毛嫌いをしているという訳では無い。だが、あんな文法が一切なっていない小説で、小説家気取りになっている奴が気に食わないだけだ」

事実だ。あれで小説家、と言えるのだろうか?

同人作家にすら、劣るぞ。

「でも、ケータイ小説を書いている人たちだって、苦労して書いていると思うわよ?」

「……あの程度で苦労? ふざけてる。冗談じゃない。小説家ってのは、何度も何度も推敲を繰り返して、始めて初めて一つの作品が出来上がる。ケータイ小説の文章はどう見ても、推敲をしているようには思えない」

「でも、一般の人から見たらかなり苦労していると思うわ」

「一般? 同人作家と同類で、どう一般と区別しろと?」

「同人作家っていったいどういう意味なのかしら?」

こいつは、同人作家の意味も知らないのか?

「大学のサークルと似ている、とでも取っておけ。趣味で書いた小説のようなものだ。中には小説家希望の人もいるがな」

「それと同類、って事?」

「ああ、趣味のレベルを超えないよ。超える小説を見た事がない」

肩をすくめて見せながら俺は言ってやった。

「成程ね。君は趣味のレベルで書かれた小説が、普通の小説を同じように扱われているのが好きじゃないんだ」

まぁ、どうとでも取っておけ。

「まぁ、なんにせよ金を出して買うレベルの代物では無い、という事だ。あれを「商品」として扱うのはどうかしている」

そう、商品だ。金をもらって物を差し出す以上、それは商品となり得る。

< 24 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop