lotlotlot3-血脈の果て-
想いは思わぬ方向音痴
イバーエが知るはずもなかった。カルサに続く森。この森はただの森ではない。森自身が意志を持ち、無関係な者を奥へ行かせたりはしない。仮に地図を見て足を踏み入れても同じだ。森の意志に人間は踊らされる。
イバーエも、今踊っていた。それも力の限り・・・。

「あれ、ここさっきも通ったような・・・?」
イバーエはかなりの方向音痴だ。それ以上に迷っていると言う意識すらない。かなり、めでたい奴だ。
イバーエが、さっきも通ったようなと言った場所。実はそこを三度も通っている。それでもこの程度なのだ。
「アイワイさん、何かわかったかな?」
そうは思いながらも、自分からは連絡を取れずにいた。ただ、連絡を待ち続けた。女の子に自分から連絡を取るなんて、顔から火が出るほど恥ずかしい。だから、今は自分の力でどうにかしたかった。

「しかたない。」
覚悟を決めた。
「lot。」
言術を唱えた。想いはこうだ。
<森を抜けたい。>
てっきり、体がふわりと浮いて森を抜けるとか、そんな風に考えていた。しかし、以前に空を飛び、大失敗をした記憶も残っていた。そのせいなのだろう。イバーエが思っても見なかった事が起きた。
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