lotlotlot3-血脈の果て-
はじまりの力
双子が、九歳になった時だ。王妃の父親が病気と言う知らせを受け、王妃は実家に帰って行った。それもお腹の中に新しい命を宿して。
母親がいなくなった寂しさからなのだろうか。ふたりはよくケンカをするようになっていた。勝つのは、いつもおおてだ。ヨダセンは決して勝てない。理由は言うまでもない。魔力が違うのだ。

その日はケーキの取り合いからケンカが始まった。全く同じもののはずなのに、ヨダセンはおおてのケーキを横取りした。
「あ、ヨダセン、何するんだよっ。」
「だって、そっちのケーキの方がおいしそうなんだもん。交換したっていいだろ?」
そう言われても納得いかない。同じはずなのに、おおてにも取られたケーキの方がおいしそうに見えたのだ。
「返せよ。」
「嫌だね。」
「返せよ。」
「だから、嫌だって言ってるだろ。」
ちょうど乳母が王に呼ばれ、一緒にいなかった事が災いした。ケンカは激しくなり、いつしか取っ組み合いになった。しかし、そこは双子だ。腕力は完全に互角だった。
「ムカつくんだよ。」
「そっちがいけないんだろっ。」
それでもケンカは止まない。
その時、ヨダセンが気がついた。いつも見ている父親達の魔法。もしかしたら、その魔法が使えるかもしれない。そう思ったのだ。
少しおおてとの距離をおいた。それから真似してみた。
「エフス。」
思い切り叫んだ。しかしだ。何も起きない。
それでも、おおては冷や汗をかいた。自分はまだ魔法が使えない。対してヨダセンは使えるのかと思ったからだ。
「な、なんだ・・・。何も起きないじゃないか・・・。」
「うるせえ。だいたい、お前だって使えないだろ?」
兄の自分に使えないのだから、弟のおおてが使えるはずがない。そう、高を括って言った。
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