ちぇんじ☆
 鏡に映る私の背後に……何かが見える。

 つーか、何かっていうかこれは……人の顔?
 青白い顔をした『中道 隼人』くんの顔。

――ゆ!幽霊!?

 いや死んでるかどうか分からないんだから幽霊と呼ぶべきかどうか。

……って、そんなこと考えてる場合じゃないだろ!

(あのさぁ、仮にも女の子なんだから鏡くらいは家の中で見ようぜ?)

 ふいに私の頭の中に響いてきた声。

「へ? なに? この声?」

(お、やっと声が聞こえたみたいだな。
鏡で俺の顔が見えてないと声が聞こえないみたいだな。
落ち着けよ?)

 この状況になってからちょっとのことでは驚くまいと思っていたが
 この超常現象の上塗り状態はさすがに驚く。
 今にも泡でも吹いて気絶しそうだ。

(落ち着け!俺の話を聞け!な?)

 うわあ!頭の中に声が響くよーーー!!

「何? 幽霊? 幽霊なの?」

(幽霊じゃねーよ!とりあえず人がもっと少ない鏡のある場所へ移動しろ!)

 何?ここじゃまずいの?

「私、取り憑かれて殺されるの?」

(馬鹿なこと言ってないで、早く移動しろ!このまま人に見られたら俺が精神異常者扱いだ!)

 怒鳴るように一際大きな声で隼人くんの霊(?)が叫ぶ。

「移動すればいいの!? 殺さない? 何もしないって約束してくれる?」

(何もしねーよ!!!早く移動しろーーーーーー!!!!!)

 何でそんなに怒ってるのよー?
< 23 / 449 >

この作品をシェア

pagetop