ちぇんじ☆
 木の向こう側に見えたのは――ぼんやりとした灯り……のように見えた。

――ひょっとして民家でもあるの!?

 いや、もし人が住んでるところがあるんだったらカズちゃんの住んでるところに違いない!
 だって、こんな所に他に人が住んでるとは思えないし。

 それはさておき、灯りの見えた方向に進む。
 現金なもので、先ほどまでは動かすのもツラかったはずの体も、
 一縷の希望が見えたおかげか心なしか軽い。

 灯りが見えたのは気のせいではなかった。
 木々の陰に隠れながらも幾度となく見え隠れしている。
 
――動いてるってことは……あの灯りのところに人がいるのよね?

 灯りは私が追いかけても距離が縮まらない。
 少し早足で歩いているのだが、それでも追いつかない。
 なんというか……ある一定の距離で見え隠れしている。

「おーーーーーーーーい!! 誰かいるんですかぁーーーーーー!?」

 前に見える灯りに向かって大声で叫んでみる。

……が返事はない。

 聞こえていないのか、それとも人がいるわけでは無いのか……?
 他に歩いていくアテもない。
 確たる根拠も無いままに灯りの後ろについて歩いていく。
 
 灯りの後ろについて十五分も歩いた頃だろうか――。

――突然、小さな灯りの向こうに大きな光が見えた!
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