ちぇんじ☆
 弟の直哉くんに比べればかなり弱いものではあったがカズちゃんも霊能力を持っていた。
 そして、その力の源が同じであることをカズちゃんは勘付いていた。

 ここからカズちゃんの特訓が始まったそうだ。
 直哉くんの霊力を自分の体に引き取るための特訓。
 それがどのようなものなのか私には分からない。
 しかし、それを実行することは日常の生活を捨ててしまうことに他ならないことは私にも分かる。

――つらい決心だったんだ。

 一ヶ月ほどでその特訓は終了し、カズちゃんの体に直哉くんの霊力を受け入れる体勢は整った。
 儀式は満月の夜に執り行われた。

 歳平家に代々伝わる――禁断の儀式、『入れ替わりの儀』を。

 とうとう、話は私が求めている部分に到達したようだ。
 まあ、途中のカズちゃんの話も相当に興味深かったんだけど、そこはそれ。
 こんな入れ替わっていない状態で聞きたいものだ。

……私のそんな思惑は置いておいて――話は続く。
< 295 / 449 >

この作品をシェア

pagetop