ちぇんじ☆
 お母さんの呼びかけから四、五秒の時間を置いて小屋の奥から何者かの足音が響いてきた。
 トストストス……と規則的な間隔で木の床を踏む、軽い調子の足音が聞こえる。

「誰だぁ? こんなトコにわざわざ来るヒマ人は?」

 まだ声の主の姿は見えないが、小屋の奥のほうからその返答の声が聞こえたのはハッキリと分かる。
 きっとこの山小屋の主なのだろう。
 声のトーンからして男の人のようだ。
 話し方は少し荒っぽいけど耳にすんなりと入ってくるような優しい透き通るような声だ。

 聞こえた声だけで判断すると……勝手なイメージで語るのならば、普段はクールだけどいざとなると優しい人。
 そんな感じの話し方といったところだろうか。

 どんな人が出てくるのだろうか?
 知らない人と会うというのは、どんな状況であってもドキドキするものだ。

「あ、カズちゃん。ちょっと見てもらいたいんだわ」

 まだ姿を見せない声の主に向かってお母さんが返事をする。
 どうやら声の主は『カズちゃん』という人物らしい。

――で、見てもらうって、私はそのカズちゃんに何を見られるんだ?

 確かに身体に異常は起こっているけど、これは病気とかでは無いワケで。
 それに、いかに男の子の身体になっているとはいえ、他の男の人に裸を見られるとかはさすがに恥ずかしいぞ!?
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