ちぇんじ☆
……元通りになったら私があの山道を下らなくて済むわけだし。出来れば復路は隼人くんに任せてしまいたい。

 ハッ!そんなノンキなことばっかり考えているワケじゃないですよ!?
 ちゃんと隼人くんの不便とかも考えてますよ?
 それを差し引いた上で、あの山道というか修験者が歩くような道を歩くのがツライというか。

 総合的に判断すると、元に戻る方法が存在するのならば一刻も早く元に戻りたい、と。
 さあ、カズちゃん早く方法を教えてちょうだい!

 だが、カズちゃんの返答はやや肩透かしなモノだった。

「……んー、とは言え。オレに何かができるかは分からんぞ?」

 カズちゃんは長髪の頭を掻きながらそう答える。

 えええ!そんな!期待してるんですよ?
 できます!きっとできますって!むしろできないと怒るよ?
 泣きながら怒るよ?グルグルパンチとか出しながら突進するよ?

 カズちゃんの一言に、私は相当ショックを受けた顔をしていたのだろう。
 私に顔を向けてカズちゃんが優しい声で言った。

「まあ、心配すんなよ。とりあえず話を聞かせてみ?」

――あ、見た目よりも優しい人だ。

 その言葉に、少しだけ冷静さを取り戻した。
 私はなるべく事細かに今までのことをカズちゃんに話した。
 入れ替わった原因と思われる行動、元に戻そうと努力はしたこと。
 隼人くんも鏡の中だけとはいえこの場所にいること。
 そして、入れ替わっているとはいえ『元のままの私』も存在していること。
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