愛の雫
次第に速度を上げた自転車は、風を切ってグングン進んでいく。


そのスピードに、凪兄の力強さを感じていた。


「希咲〜、寒くない?」


冷たい風が肌に触れているから、本当は少しだけ寒い。


だけど、凪兄の背中に守られているような気がして、苦手な寒さも平気だと思えた。


「別に平気……」


ぶっきらぼうに答えたあたしは、凪兄の背中にそっと額をくっ付けた。


「そっか」


彼は優しい声で呟いた後、自転車を漕ぐスピードを更に上げた。


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