愛の雫
程なくすると玄関のドアが開く音がして、凪兄がリビングに入って来た。


「希咲、電気点け過ぎ」


呆れたように言った彼は、あたしを見ながら苦笑している。


「だって、真っ暗だったんだもん……」


「当たり前だろ?」


フッと笑った凪兄は、あたしに火燵(コタツ)の電源を入れるように言った後、キッチンに立った。


約束通り、カラメルミルクを作ってくれるみたい。


火燵に入ったあたしは、キッチンに立っている凪兄の後ろ姿をぼんやりと見つめていた。


< 17 / 830 >

この作品をシェア

pagetop