愛の雫
外に出た途端、冷たい風が頬や耳を刺した。


歩きながら感じるそれがいつもよりも痛く思えて、芽生え始めた虚しさが増していく。


凪兄の家に行けば説教をされてしまう事は、心のどこかでわかっていたハズなのに…。


そのせいで苛立つ事も、やり場の無い気持ちを抱えてしまう事もわかっていたのに…。


それでも行ってしまったのは、凪兄が作ってくれるカラメルミルクを飲みたかったから…。


だって…


凪兄のカラメルミルクは、ママが作ってくれた物とよく似ているから…。


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