愛の雫
「そういえばさ、春休みに入ってから繭に……」


話を変えようとした時にちょうど頭の中を過ぎった疑問を、最後まで口に出す事はしなかった。


『繭に会った?』


そう訊こうとしたけど、それは無意味な質問だってわかっていたから。


繭は二年に進級するのと同時に、きっとあたし達と離れるつもりなんだと思う。


うちの学校が二年から理系と文系に分けられてクラス替えをする事は、入学した当時から知らされていて…


あたし達の中では、繭だけが理系を選択しているんだ。


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