愛の雫
「学校の友達?」


早苗に尋ねられて携帯を見つめていた視線を上げると、いつも別れる道まで来ていた事に気付いた。


「うん、絵里香……」


ため息混じりに頷くと、彼女が眉を寄せながら笑った。


絵里香の事はよく話しているから、きっとあたしの気持ちを察してくれたんだと思う。


だけど、電話の前の早苗とのやり取りが引っ掛かって、いつもみたいに言葉が出て来ない。


「じゃあ……」


あたしが怖ず怖ずと言うと、彼女は小さく頷いただけで背中を向けてしまった。


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