愛の雫
ただ単純に、情けないって思った。


“何でも言い合える仲”なんて口先だけで、あたしは少しずつ本音を話さなくなっていたんだ。


バイトが終わったら、早苗と話さなきゃ……


自分に言い聞かせるように心の中で呟いた後、控室を後にしてカウンターに行った。


「あっ、希咲ちゃん!そこの床、磨いてくれる?」


「わかりました」


乃依さんに笑顔を向けながら頷いて、モップでフロアを磨いていく。


いつも通りに掃除が終わった頃、一組目の団体客が来た。


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