愛の雫
小太りの男性医師は、マスクを外して笑顔を見せた。


「手術は成功しましたよ」


「ほ……本当……?」


パパよりも先に言葉を零したあたしは、まだ心を覆ったままの不安を消す事が出来なくて、医師に再度確認する。


「本当に成功したんですか……?」


そう訊きながら、自分の声と唇が震えている事に気付いた。


「はい。今はまだ赤ちゃんに会う事は出来ませんが、お母さんも赤ちゃんも無事ですよ」


医師は目尻にシワを刻んで、ニッコリと微笑んだ。


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