愛の雫
あたしを真っ直ぐ見つめたままの陽子さんが、不安げに瞳を揺らした。


「希咲ちゃんにまで“もしも”の事があったら、希咲ちゃんのパパ……広之(ヒロユキ)さんは今度こそ本当に立ち直れなくなるって思った……。そんな事になるくらいなら、自分の全てを投げ出してしまってでも、広之さんの大切な人を守りたいと思ったの」


「え……?」


「広之さんがあんな風に悲しむ姿だけは、何があってももう二度と見たくなかったから……」


苦しげに顔を歪めた陽子さんから、目が離せなかった。


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