愛の雫
それから陽子さんを病室に送り届け、あたし達は病院を後にした。


すっかり真っ暗になっている空には、満天の星とレモン色の半月が浮かんでいる。


夜空にくっきりと映える月の色に、思わず見入ってしまった。


前にいるパパと奈緒ちゃんは、明るい声で話している。


あたしは、さっき泣いてしまった事が少しだけ気まずかったけど、それについては誰も触れて来ない事にホッとしていた。


それでもまだ戸惑いを残していたせいで、隣にいる凪兄の顔を見る事が出来なかった。


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