愛の雫
あたしと凪兄の間で沈黙が続く中、不意に奈緒ちゃんが振り返った。


「ねぇ、希咲ちゃん!」


笑顔で呼ばれて、彼女の顔を見る。


「今日は家に泊まらない?」


「え?」


「ほら、あたし明日には帰っちゃうじゃん?だから、今日の夜ご飯は一緒に食べようって言ってたけど、すっかり遅くなっちゃったからあんまりゆっくり出来ないし……」


そこまで一気に話した奈緒ちゃんは、一呼吸置いてからフワリと微笑んだ。


「だから、今日は泊まりにおいでよ!」


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