愛の雫
「なっ……!?凪兄!?あたし、自分で歩けるから!降ろしてっ……!」


慌てて両手で凪兄の胸元を押しながら降りようとしたけど、彼はそれを制するかのように両腕にグッと力を込めた。


「……イイから。大人しくしてて」


凪兄の腕は力強くて、暴れるあたしをいとも簡単に押さえ込む。


だけど、優しく抱き締めてくれているみたいに思えて、何だか少しだけホッとした。


そして、お姫様抱っこに気を取られていたあたしは、いつの間にか足に力が戻っていた事に気付いた。


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