愛の雫
茂みから抜けると、公園にいる人達の視線を感じた。


だけど…


凪兄は気にしていないのか、特に表情を変える事も無く近くのベンチにあたしを降ろした。


「……あ、りがとう……」


恐怖心が和らいでいたあたしは、気まずさを隠しながらお礼を言ったけど…


凪兄は何も言わずに背中を向けて、近くにあった自動販売機で飲み物を買ってから戻って来た。


「はい」


差し出されたココアを両手で受け取ると、缶の熱がゆっくりとあたしの手に移っていった。


< 77 / 830 >

この作品をシェア

pagetop