愛の雫
「でも、その子の母親は基本のレシピは教えてくれたけど、一番大切な事は『それは凪君自身で気付かなきゃダメなの』って言うばっかりで、絶対に教えてくれなかったんだ」


「一番、大切な事……?」


呟くように訊き返したあたしに、凪兄が小さく頷いた。


「隠し味だよ」


隠し味……?


「その魔法はさ、隠し味を入れないと完成しないんだって」


凪兄は、また悪戯な笑みを浮かべている。


その表情から、彼は隠し味の正体を知っているんだと確信した。


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