愛の雫
凪兄は、いつも説教染みた事ばかり言って来る。


だけど…


絶対に怒鳴ったりはしなかった。


だからいきなり怒鳴られた事に驚いて、凪兄から視線を逸らす事も出来なかった。


真剣と言うよりも怒りすら窺える彼の顔を前にして、何も言えない。


「はぁぁ……」


呆然としていると、凪兄が大きなため息を吐きながらしゃがみ込み、うなだれるように俯いた。


「良かった……」


顔を上げながら小さく呟いた彼は、眉を寄せながらも安堵の笑みを浮かべていた。


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