愛の雫
「うん」


「そっか。じゃあさ……」


小さく頷きながら返事をすると、凪兄はそう言いながらあたしの頭に拳を落とした。


「いっ……たぁ〜っ!!」


頭頂部に落とされた鈍い痛みに思わず声を漏らし、弾かれたように彼を見上げた。


「何すっ……!」


「このバカッ!!!」


凪兄はあたしの言葉を遮ると、広い公園中に響き渡るくらいの声で怒鳴った。


驚いたあたしの全身がビクッと強張って、続けて発するつもりだった言葉達を飲み込んでしまった。


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