わたしの、センセ
嘆いても仕方ないか

変わらない現実を、うらやんでも変化するわけでもない

また来週、こんな風に会えればいい

いや…来週もさくらと過ごしたい

さくらと過ごす時間を大切にしたい

もっとさくらとの想い出を作りたいよ

もうこんな贅沢な部屋には泊まれないけどね

僕はスィートルームの部屋を眺めると、独りで苦笑した

僕のポケットバンクが破産しちゃうよ

「センセ?」

さくらの声に僕は、視線を下にした

さくらが、僕の手に触れてくると、指先にキスを落とした

「もう…行く時間?」

「あと1時間したら、帰ろうか」

「…うん」

さくらが寂しそうな顔をしながら、頷いた

「帰りたくないな」

ぼそっとさくらが呟くと、僕の腕に絡みついてくる

「僕も。帰りたくない」

僕は、さくらにキスをする

互いの指を重ね合わせて、僕はさくらの唇を噛んだ

「もう一回、シテも……怒らない?」

僕の言葉に、さくらが幸せそうに頷いた

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