【一話完結×短編集】ビター&スィート
本を戻しながら

チョコをギュッと握り締める



手が…汗ばむ



足が…ガクガク震える



少しずつ日野崎くんが近くなる




「あっ…あの…」




私の呼びかけに

こちらを向いてくれて…



切れ長の瞳が私を見つめる





「あの…牧村一華…といいます」




「……」




どうにかこうにか名前は告げれたけど…




どどどどうしよう…





「あの…これっ…」



私の勢いに反射的に日野崎くんは手を伸ばしてくれて

だから、その手に押し付けるようにチョコを渡すと

荷物を持って一目散に図書室を後にした



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