はつおもい
初めて見た、桐谷くんの瞳。
もしかしたら
初めてじゃないかもしれないけれど。
でも、私は今まで
こんなに優しい瞳を見たことがあったかな。
…そう思ったら
これが初めてなんだと思った。
沈んでいた心を
そっ…とすくいあげてくれるような。
そんな優しさを感じて
何だか胸のあたりがほわりとした。
声をだせない代わりに
こくん、とうなずく。
桐谷くんは最後にもう1度
瞳をやわらかく細めて笑うと
クラスの男の子の輪に混じっていった。
その笑顔だけで心があたたかくなる。
それがどうしてなのかは
わからなかった。