はつおもい


それから、1週間がたった。

6時間目のLHR(ロングホームルーム)の時間。
この時間はいつも音楽祭に向けての
練習の時間になっていた。

ソプラノ、アルト、男子の3つにわかれて
それぞれで練習を繰り返す。

歌詞もメロディーも覚えて
教室のあちこちから歌声が聞こえてくる。


「今日はピアノの伴奏、指揮者もいれて
 全員で1度通して終わりにしようか」

担任の先生が時計を見ながら言った。

つられて時計を見てみると
終わりのチャイムが鳴る5分前になっていた。

パートごとに分かれて、
背の低い人から順番に横並びの列を作っていく。
クラスの中でも特に小さい私は
1番前の列で、おまけに真ん中。
恥ずかしいし目立つから、この場所はきらい。


「それじゃあ、始めてください」

先生の合図で、指揮者が教壇ですっと腕をあげると
ピアノの伴奏が始まった。

綺麗で静かなメロディーが流れていく。


頭の中で歌詞の始まりを思い出しながら
私は少しドキドキしていた。
みんなで歌うのは初めてだったから。

歌い始めの部分に入り、
喉の奥から言葉を出すために小さく口を開ける。


ちょっとした異変に気づいたのは
その時だった。

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